「同じ金属加工製品を一度に大量生産する」というビジネスモデルは日本国内ではなかなか難しい時代です。金属製品の多品種変量生産にどう取り組むのか、様々な方向から情報交換や議論を期待しています。
金属加工の段取替えへの取り組みとして、別トピックでお話されていた「金型交換時のセッティングを一発で行う方法(外段取り)」と「金型そのものを使わない方法」について、もう少し詳しくお聞かせ願えますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
金型を工作機械(例えばプレス機)に装着してから、上型と下型の位置調整をするのではなく、事前に位置を合わせておく。 さらに、プレス機の条件(プレス圧や圧力保持時間など)を金型毎に記録しておく などが外段取りです。
金型を使わない方法で一番の好例はドイツ車のダウンサイジングエンジンに装着されているターボチャージャーのタービンです。 以前は「アルミ鍛造→後加工」でしたが、今はアルミブロックからの切削加工です。Φ50位の複雑な形状を5軸マシニングセンタで2分ほどで完成するそうです。 丁度このトピックのトップの画像がタービンですね。
関先生、ご回答ありがとうございます。
前者は工作機側に調整を支援するような機能も必要となりそうですね。
以前にプレス加工の企業の方にお話を伺ったことがあるのですが、プレス機の金型の条件を記録するなどの取り組みは行っているとのことでしたが、実際にはそれだけではなかなか合わせるのは難しく、最終的には職人さんの手で調整することが多いとのことでした。
職人さんの勘(認識のノウハウ)や技(調整のノウハウ)をデジタルデータ化して再現することができれば、工作機が自動で調整をしてくる、なんてこともできるようになるのでしょうか。それともそういうアプローチは難しすぎる、あるいはムダが多すぎるのでしょうか。
>職人さんの勘(認識のノウハウ)や技(調整のノウハウ)をデジタルデータ化して再現することができれば、工作機が自動で調整をしてくる、なんてこともできるようになるのでしょうか。それともそういうアプローチは難しすぎる、あるいはムダが多すぎるのでしょうか。
職人さんの勘コツをどうデジタル化するかと言う事は追及すべきでしょうね。私は「デジタルはアナログを絶対に越えられない」という持論を持っています。デジタル化が進めば職人さんの技はもっと進化する。 職人さんたちは現場の温度や湿度の差によって、作業を微妙に変えたりしている。何をどう微妙に変えているかが分析できれば、温湿度を機械側にフィードバックすればよいですよね。 以前の職場で、研削盤で1ミクロンオーダーの製品を作っていましたが、ある作業者さんは製品に竹べらを当てて、そこから伝わる振動で砥石を追いこむ。ある作業者は砥石と金属の擦れる音の変化で追い込む。これじゃぁデジタル化も技能伝承も難しいので、8年ほど前に製品の寸法をカメラで撮影、その寸法をリアルタイムに計測し、それを機械側にフィードバックすると言う事に挑戦しましたが、切削油が邪魔をしてできませんでした。 でも、今現在、AMADA WASHINOのプロファイル研削盤ではそれが実現しています。何のことはない、計測時に加工をいったん止めて、エアブローで切削油を吹き飛ばすという方法でした。それは思いつかなかった。。。(^_^;)
「デジタル化が進めば職人さんの技はもっと進化する」
デジタルでアナログを置き換える、のではなく、それぞれ得意な分野で、お互いに補完しあうような形でよりよいものを目指していくということですね。またまた目からうろこが落ちた気分です。
職人さんの高齢化も問題視されている昨今ですから、その知識をやはりなんらかの方法で情報化して技術伝承していければとも思います。しかしそれもまた、すべてデジタルに置き換えるのではなく、「デジタルでアナログの技術伝承を支援する」というアプローチにするのが理にかなっているのかもしれませんね。
部材にもよると思いますが、金型を使わない方法として、3Dプリンタを使うという方法は現実的に可能でしょうか? 品質、コストや時間の面を考えるとやはり5軸マシニングセンタの方が優れているのでしょうか?
「金型を使わずに3Dプリンターで製品生産」は、すでに中国で行われています。安価な樹脂積層型3Dプリンタを500台並べて、データを一気に送れば500個が一度にできます。段取り替えも不要。 ただ、金属3Dプリンターは安くても5,000万円の世界ですから、現状ではまだ夢物語ですね。。。 でも近い将来はどうなるかわかりませんよね♪
3Dプリンタでの生産、既に一部では実際に行われているのですね。生産速度や品質、コストなどが気になるところですが、現状はどのような状況なのでしょうか。金属3Dプリンタが高価というのはわかりましたが、樹脂なら従来の金型を使った方法に比べて良くなっているのでしょうか?
その点がクリアできれば、今後の少量多品種生産の主流になるかもしれませんね。
yamomotoさん、こんばんは。
勿論QCDのバランスを考慮して、3Dプリンタでの量産をしているのでしょう。金型不要、段取り替え不要のメリットは計り知れません。
ただ、射出成型のようなクオリティの製品を求めるのならば、それなりに高価な3Dプリンターと材料が必要です。オーダーメードの義足など、医療方面ではそちらの方向ですよね。
もう一つの考えとしては、樹脂3Dプリンターで型を作って、射出成型するという考え方もあります。私の友人である橋爪さん率いる長野のSWANY社が実現し、特許申請しています。50~100個は成形できるそうです。途中で型が壊れたら、またプリントすればいいわけですから。
オーダーメイドの分野では、3Dプリンタや5軸マシニングセンタは大活躍しそうですね。
そうなってくると、いままでは金型の調整などの技術が重要でしたが、今後は3Dデータやそれらの機器ををどれだけ上手に扱えるか、という技術に変わってきそうな気もしますね。
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金属加工の段取替えへの取り組みとして、別トピックでお話されていた「金型交換時のセッティングを一発で行う方法(外段取り)」と「金型そのものを使わない方法」について、もう少し詳しくお聞かせ願えますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
金型を工作機械(例えばプレス機)に装着してから、上型と下型の位置調整をするのではなく、事前に位置を合わせておく。
さらに、プレス機の条件(プレス圧や圧力保持時間など)を金型毎に記録しておく などが外段取りです。
金型を使わない方法で一番の好例はドイツ車のダウンサイジングエンジンに装着されているターボチャージャーのタービンです。
以前は「アルミ鍛造→後加工」でしたが、今はアルミブロックからの切削加工です。Φ50位の複雑な形状を5軸マシニングセンタで2分ほどで完成するそうです。
丁度このトピックのトップの画像がタービンですね。
関先生、ご回答ありがとうございます。
前者は工作機側に調整を支援するような機能も必要となりそうですね。
以前にプレス加工の企業の方にお話を伺ったことがあるのですが、プレス機の金型の条件を記録するなどの取り組みは行っているとのことでしたが、実際にはそれだけではなかなか合わせるのは難しく、最終的には職人さんの手で調整することが多いとのことでした。
職人さんの勘(認識のノウハウ)や技(調整のノウハウ)をデジタルデータ化して再現することができれば、工作機が自動で調整をしてくる、なんてこともできるようになるのでしょうか。それともそういうアプローチは難しすぎる、あるいはムダが多すぎるのでしょうか。
>職人さんの勘(認識のノウハウ)や技(調整のノウハウ)をデジタルデータ化して再現することができれば、工作機が自動で調整をしてくる、なんてこともできるようになるのでしょうか。それともそういうアプローチは難しすぎる、あるいはムダが多すぎるのでしょうか。
職人さんの勘コツをどうデジタル化するかと言う事は追及すべきでしょうね。私は「デジタルはアナログを絶対に越えられない」という持論を持っています。デジタル化が進めば職人さんの技はもっと進化する。
職人さんたちは現場の温度や湿度の差によって、作業を微妙に変えたりしている。何をどう微妙に変えているかが分析できれば、温湿度を機械側にフィードバックすればよいですよね。
以前の職場で、研削盤で1ミクロンオーダーの製品を作っていましたが、ある作業者さんは製品に竹べらを当てて、そこから伝わる振動で砥石を追いこむ。ある作業者は砥石と金属の擦れる音の変化で追い込む。これじゃぁデジタル化も技能伝承も難しいので、8年ほど前に製品の寸法をカメラで撮影、その寸法をリアルタイムに計測し、それを機械側にフィードバックすると言う事に挑戦しましたが、切削油が邪魔をしてできませんでした。
でも、今現在、AMADA WASHINOのプロファイル研削盤ではそれが実現しています。何のことはない、計測時に加工をいったん止めて、エアブローで切削油を吹き飛ばすという方法でした。それは思いつかなかった。。。(^_^;)
関先生、ご回答ありがとうございます。
「デジタル化が進めば職人さんの技はもっと進化する」
デジタルでアナログを置き換える、のではなく、それぞれ得意な分野で、お互いに補完しあうような形でよりよいものを目指していくということですね。またまた目からうろこが落ちた気分です。
職人さんの高齢化も問題視されている昨今ですから、その知識をやはりなんらかの方法で情報化して技術伝承していければとも思います。しかしそれもまた、すべてデジタルに置き換えるのではなく、「デジタルでアナログの技術伝承を支援する」というアプローチにするのが理にかなっているのかもしれませんね。
部材にもよると思いますが、金型を使わない方法として、3Dプリンタを使うという方法は現実的に可能でしょうか? 品質、コストや時間の面を考えるとやはり5軸マシニングセンタの方が優れているのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
「金型を使わずに3Dプリンターで製品生産」は、すでに中国で行われています。安価な樹脂積層型3Dプリンタを500台並べて、データを一気に送れば500個が一度にできます。段取り替えも不要。
ただ、金属3Dプリンターは安くても5,000万円の世界ですから、現状ではまだ夢物語ですね。。。 でも近い将来はどうなるかわかりませんよね♪
関先生、ご回答ありがとうございます。
3Dプリンタでの生産、既に一部では実際に行われているのですね。生産速度や品質、コストなどが気になるところですが、現状はどのような状況なのでしょうか。金属3Dプリンタが高価というのはわかりましたが、樹脂なら従来の金型を使った方法に比べて良くなっているのでしょうか?
その点がクリアできれば、今後の少量多品種生産の主流になるかもしれませんね。
yamomotoさん、こんばんは。
勿論QCDのバランスを考慮して、3Dプリンタでの量産をしているのでしょう。金型不要、段取り替え不要のメリットは計り知れません。
ただ、射出成型のようなクオリティの製品を求めるのならば、それなりに高価な3Dプリンターと材料が必要です。オーダーメードの義足など、医療方面ではそちらの方向ですよね。
もう一つの考えとしては、樹脂3Dプリンターで型を作って、射出成型するという考え方もあります。私の友人である橋爪さん率いる長野のSWANY社が実現し、特許申請しています。50~100個は成形できるそうです。途中で型が壊れたら、またプリントすればいいわけですから。
関先生、ご回答ありがとうございます。
オーダーメイドの分野では、3Dプリンタや5軸マシニングセンタは大活躍しそうですね。
そうなってくると、いままでは金型の調整などの技術が重要でしたが、今後は3Dデータやそれらの機器ををどれだけ上手に扱えるか、という技術に変わってきそうな気もしますね。