柳生 謙

16.オペレーション(納期管理)

納期

納期とは納入期限のことですね。
受注側が発注側に指定のモノを納入する。

最終顧客への最終納期のみならず、
購買--->生産-->販売という流れのなかで、
各工程単位に納期があるといえます。
工程納期の小さな遅れの積み重ねが、
全体納期の大きな遅れにつながります。

各工程の納期には発注側の希望納期と、
受発注双方が約束した約束納期があります。
約束納期が守れなくなりそうな場合には、
納期調整が必要になってきます。



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  • 納期調整

    納期遅延には他のビジネス上のトラブル対応と同様に、
    応急的対策と抜本的対策があります。

    応急的対策としての納期調整の例です。

    順序変更
    より優位順位の高いオーダーを先に生産して、
    より優先順位の低いオーダーを後に回す。

    分納(分割納品)
    オーダーの数量が複数の場合、分割して納品する。

    外注
    余力のある他社にオーダーの一部を外注する。

    納期変更
    納期調整がつかないと想定される場合、発注先に納期変更を依頼。

     



  • 納期対策

    抜本的対策としての納期対策の一例です。

    納期回答の精度向上
      
    納期経験値を蓄えます。希望の値ではなく現実の値で。

    工程改善
      設備や作業面など、トラブルで工程が滞留することを防ぎます。

    余力管理(数量、期間)
      自社の生産余力、仕入先の納品余力、顧客への納品余力を把握します。

    販売機能、購買機能、生産機能、物流機能の連携強化
      営業担当、購買担当、生産担当、物流担当間の密な報告、連絡、相談が必要。
      

     

     



  • フォワード・スケジューリングとバックワード・スケジューリング

    製造オーダーにおけるスケジューリングには、フォワード・スケジューリングバックワード・スケジューリングがあります。

    オーダー着手日をもとにオーダー完了日を算出するのがフォワード・スケジューリング。

    オーダー完了日をもとにオーダー着手日を算出するのがバックワード・スケジューリング。

    「早ければ〇〇日に着手日できるので、それでいくと完了日は〇〇日」というのはフォワード・スケジューリング。

    「完了日を守るには、遅くとも〇〇日には着手しなくてはならない」というのはバックワード・スケジューリング。



  • スケジューリングと制約

    スケジューリングする際には、生産資源(作業者、設備、治工具等)の制約や
    必要な原材料・部品が調達できているかという前提を考慮に入れる
    必要があります。

    例えば、担当する作業者が他のオーダーの生産でかかりきりになっていたら、すぐにオーダーに着手することができません。

    同様に、必要な原材料・部品が調達できていなかったら、
    すぐにオーダーに着手することができません。



  • 最早着手日と最遅着手日

    「早ければ〇〇日に着手する」というときの着手日が最早着手日。
    「遅くとも〇〇日には着手する」というときの着手日が最遅着手日。

    フォワード・スケジューリングにおける着手日が最早着手日。
    バックワード・スケジューリングにおける着手日が最遅着手日。

    ではどちらの日を着手日にするか。

    スケジューリングソフトにより仕様は異なると思いますが、
    基本的な考えは
    フォワード・スケジューリングもしくは
    バックワード・スケジューリングのいずれかを採用します。

    複数オーダーがある場合は各オーダーに優先順位をつけて、
    フォワード・スケジューリングもしくはバックワード・スケジューリングを用いて、
    優先順位の上位のオーダーから着手日を決めていきます。



  • スケジューリング例
     
    次の様なスケジューリング例を考えます。
     
    (1)部品構成表
     
    品目Aは組立品、品目Bと品目Cは購買品目
     
    品目A 
    .品目B  1個
    .品目C  1個
     
    (2)品目Aのリードタイム情報
     
    処理リードタイム : 2日
    前処理リードタイム : 0日
    後処理リードタイム : 0日
     
    (3)スケジューリング方法
     
    バックワードスケジューリング
     
    (4)在庫情報
     
    品目A :   0個
    品目B : 10個
    品目C : 20個
     
    (5)オーダー
     
    No.XX1 品目A 数量2個 要求納期3/31 優先順位1
    No.XX2 品目A 数量1個 要求納期3/31 優先順位2  
     
    ----
    (6)スケジューリング
     
    ①資源制約上、1日で組み立てる数量は1個と仮定し、優先順位を考慮して納期を仮に置く
     
    オーダーNo.XX1 
    製造完了日:3/30(納期の前日が製造完了日)
    製造着手日:3/29(リードタイム2日(=1日×2個)、3/30完了のために3/29着手)
     
    オーダーNo.XX2
    製造完了日:3/28(優先順位の高いオーダーNo.XX1の後に仮置き)
    製造着手日:3/28(リードタイム1日(=1日×1個))


  • 前回のコメントを少し直しました。
    「資源制約なし」ではなく、
    「資源制約上、1日で組み立てる数量は1個と仮定」しました。
    各オーダーの製造完了日や製造着手日は変更ありません。

    もしまったく資源制約がなかったら、優先順位は関係なくなります。

    オーダーNo.XX1 
    製造完了日:3/30(納期の前日が製造完了日)
    製造着手日:3/29(リードタイム2日(=1日×2個)、3/30完了のために3/29着手)
     
    オーダーNo.XX2
    製造完了日:3/30(納期の前日が製造完了日)
    製造着手日:3/30(リードタイム1日(=1日×1個))


  • (6)スケジューリング
     
    ②仕入先の供給能力の制約により、仮納期が守れないケースも考慮
     
    仕入先の事情で購買品目BとCの納入が遅れる遅品の場合や、
    購買品目BとCの納入そのものができないほどの欠品の場合、
    部品がなければ組立作業ができませんので、納期が守れなくなります。
     
    このようなケースになってもあわてないように、
    恒久対応として仕入先の供給能力の把握や、
    代替手段(代替業者からの仕入れや自作など)を講じておきます。


  • 固定リードタイムと変動リードタイム

    オーダー数量の観点から、リードタイムを2つに分けることができます。

    固定リードタイム

    オーダー数量にかかわらず設定される固定のリードタイムです。

    変動リードタイム

    オーダー数量に応じて変動するリードタイムです。

    オーダー数量単位の変動リードタイム
    =(製造完了日ー製造着手日)ー固定リードタイム

    1個1個ではなく、一定数量のロットサイズで生産する場合は、

    ロット単位の変動リードタイム
    ={(製造完了日ー製造着手日)ー固定リードタイム}÷ロットサイズ

    となります。



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